糖尿病の薬でGVHD予防!

白血病などの血液疾患を完治させるために骨髄移植などの造血幹細胞移植が行われますが、移植がうまくいかないこともあります。うまくいかない主な理由は2つで再発とGVHDや感染症などの合併症になります。

GVHD(移植片対宿主病)は移植したドナーさん由来の細胞が患者さんの正常組織を攻撃してしまい、重症な場合はGVHDが命取りになることもあります。

最近NEJMという医学界では有名な雑誌に糖尿病の薬が急性GVHD予防に有効であったという論文がありました。糖尿病の薬であるシタグリプチン(日本ではジャヌビア®、グラクティブ®で糖尿病治療に用いられます)をGVHDの予防薬に追加併用することで、急性GVHDの発症率が低下し、移植後1年の非再発死亡率(再発なしで合併症で死亡した率)が0%だったとのことです。

シタグリプチンは糖尿病では1日100㎎使用しますが、この報告でのGVHD予防では1回600㎎を1日2回用いて予防していました。

量はかなり違いますが、糖尿病の薬がGVHD予防に有効なんだ、と少しびっくりしてブログに書きました。

原文アブストラクトはこちらからhttps://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2027372

2021年01月07日