花粉症はよくあるアレルギー疾患のひとつです。(私も花粉症です)
代表的な花粉は、スギ、ヒノキ、ブタクサなど季節によって異なります。
関東地方では例年2月上旬くらいから花粉が飛散し始めます。
鼻アレルギーの全国調査2019ではアレルギー性鼻炎全体の有病率は49.2%、花粉症全体で42.5%、スギ花粉症で38.8%と報告され、以前より増加しています。
症状は鼻漏(鼻水)、くしゃみ、鼻閉の3大症状のほか、結膜炎による目のかゆみや充血、頭痛、不眠、イライラ感などさまざまな症状があります。
診断は臨床的な症状や経過、アレルゲンの検査により診断します。
採血をすることでアレルギーの原因を調べることができます。
治療はアレルゲンの回避・除去ができればよいのですが、限界があります。例年であれば花粉の曝露を避けるために、窓を閉めて花粉が入ってこないようにするのも対策の一つになりますが、新型コロナのことを考えると適宜換気を行うことも必要と考えられます。
マスクや眼鏡を用いて暴露されないようにするのは、花粉・ウイルス両者にとって有効と考えられます。
花粉症の治療には抗アレルギー薬の内服薬、点鼻薬、点眼薬などの種類があります。
内服の抗アレルギー薬にも多くの種類があります。薬の種類によって、1日1回で効く薬や眠くなりにくい薬など種類があります。
点鼻薬にもいくつか種類があります。抗アレルギー薬、ステロイドが主なものです。
点眼薬にもいくつか種類があります。抗アレルギー薬、ステロイドが主なものです。
また最近は舌下免疫療法という体質そのものを変えるような治療法もあります。
花粉症でお困りの際はご相談ください。
花粉症の治療の詳細です。重症度に応じた花粉症に対する治療法が提案されています。
軽症の場合
①第2世代抗ヒスタミン薬
②遊離抑制薬
③抗LTs薬
④抗PGD2・TXA2薬
⑤Th2サイトカイン阻害薬
⑥鼻噴霧用ステロイド薬
①~⑥のいずれか1つを選択。①~⑤で治療を開始した場合は必要に応じて⑥を追加。
中等症の場合
くしゃみ・鼻漏型
第2世代抗ヒスタミン薬+鼻噴霧用ステロイド薬
鼻閉型または鼻閉が主
抗LTs薬または抗PGD2・TXA2薬+第2世代抗ヒスタミン薬+鼻噴霧用ステロイド薬
もしくは第2世代抗ヒスタミン薬・血管収縮薬配合剤+鼻噴霧用ステロイド薬
重症の場合
くしゃみ・鼻漏型
鼻噴霧用ステロイド薬+第2世代抗ヒスタミン薬
鼻閉型または鼻閉が主
鼻噴霧用ステロイド薬+抗LTs薬または抗PGD2・TXA2薬+第2世代抗ヒスタミン薬
もしくは鼻噴霧用ステロイド薬+第2世代抗ヒスタミン薬・血管収縮薬配合剤
必要に応じて点鼻血管収縮薬を1~2週間限定で使用、症状が強い場合は経口ステロイド薬を4から7日間服用。
各薬剤の主なものを下記の通りです。
①第2世代抗ヒスタミン薬
ケトチフェン(ザジテン®)
メキタジン(ゼスラン®)
フェキソフェナジン(アレグラ®):眠くなりにくい、2歳未満も使用可
フェキソフェナジン+塩酸プソイドエフェドリン(ディレグラ®):鼻閉に有効
エバスチン(エバステル®)
セチリジン(ジルテック®)
レボセチリジン(ザイザル®):2歳未満も使用可
ベポタスチン(タリオン®)
エメダスチン(レミカット®、アレサガ®)1日1回のテープ製剤あり
オロパタジン(アレロック®)
ロラタジン(クラリチン®)眠くなりにくい、1日1回
デスロラタジン(デザレックス®)眠くなりにくい
ビラスチン(ビラノア®):眠くなりにくい、1日1回空腹時
ルパタジン(ルパフィン®):抗PAF作用あり
第2世代抗ヒスタミン薬だけでも多くの種類があります。眠くなりにくいもの、1日の服用回数、投与経路(内服が主だが貼付剤もあり)、乳幼児にも使用可能なものなどがあります。
②遊離抑制薬
クロモグリク酸ナトリウム(インタール®)
トラニラスト(リザベン®)
ぺミロラストカリウム(アレギサール®、ペミラストン®)
③抗LTs薬(抗ロイコトリエン受容体拮抗薬):鼻閉に有効
プランルカスト(オノン®):1日2回
モンテカルスト(シングレア®、キプレス®):1日1回
④抗PGD2・TXA2薬:鼻閉に有効
ラマトロバン(バイナス®):1日2回
⑤Th2サイトカイン阻害薬
スプラタストトシル(アイピーディ®):1日3回
⑥鼻噴霧ステロイド薬
ベクロメタゾンプロピオン酸エステル(リノコート®)
フルチカゾンプロピオン酸エステル(フルナーゼ®)
モメタゾンフランカルボン酸エステル水和物(ナゾネックス®)
フルチカゾンフランカルボン酸エステル(アラミスト®)
デキサメタゾンシペシル酸エステル(エリザス®)
⑦経口用ステロイド薬
ベタメタゾン・d-クロルフェニラミンマレイン酸塩配合剤(セレスタミン®)
⑧生物学的製剤
抗IgE抗体 オマリズマブ(ゾレア®)
⑨その他 漢方薬など
第2世代抗ヒスタミン薬の中で
妊娠中でも使用しやすいのはロラタジン、セチリジン、フェキソフェナジン、授乳中でも使用しやすいのはロラタジン、セチリジン、レボセチリジン、フェキソフェナジンなどです。
高齢者でも使用しやすいのは、エピナスチン、フェキソフェナジンなどですが、各個人の臓器の予備能(腎機能、肝機能など)にも注意が必要です。