腰痛とは
「腰痛」とは文字通り、腰(こし)が痛いことです。腰痛は診断名でなく、症状です。
腰痛は男女ともによくある症状です。
腰痛の分類
腰痛の分類方法はいくつかあります。
〇腰痛の有症状期間別の分類
急性腰痛:発症からの期間が4週間未満
亜急性腰痛:発症からの期間が4週間以上3か月未満
慢性腰痛:発症からの期間が3か月以上
〇原因別の分類
特異的腰痛:腰痛の原因が一つの疾患に同定される腰痛
非特異的腰痛:腰痛の原因が一つに同定されない、神経症状を伴わない腰痛
腰痛の診断
腰痛を認めた場合は、まず初めに問診と診察が重要になります。問診と診察を行うことで、腫瘍、感染症、骨折などの重篤な脊椎疾患を合併していないかを判断します。
重篤な脊椎疾患の合併は下記の時に疑います。
・発症年齢が20歳未満、または55歳以上
・時間や活動性に関係のない腰痛
・胸部痛
・癌、ステロイド治療、HIV感染の既往
・栄養不良
・体重減少
・広範囲におよぶ神経症状
・構築性脊柱変形
・発熱
上記に当てはまる場合は、直ちに画像検査(レントゲン、MRI、CTなど)や血液検査などの精密検査が必要です。原因によっては専門的な治療が必要になります。
(若年者や高齢者で腰痛を発症した場合は特異的な原因が隠れいている可能性が高くなります。脊椎疾患以外にも大動脈解離などの循環器疾患が合併している可能性、がんの既往がある方ではがんの骨転移、ステロイド治療の既往がある方では圧迫骨折、HIV(AIDSのウイルス)の既往や栄養不良、発熱がある場合は感染症の合併なども考慮しなければなりません。局所の腰痛以外に下肢のしびれや脱力・麻痺などを認める場合は神経を圧迫している可能性があり、早急な対応が必要です。)
上記にあてはまる症状がない場合は非特異的腰痛として対応します。
腰痛の治療
特定の原因が見つかった場合は、それに対する治療が必要となります。
特定の原因が見つからなかった場合は、薬物療法、物理療法、運動療法、神経ブロック、代替療法などで対応します。
安静は必ずしも有効な治療法はとはされていません。痛みに応じて活動性を維持することはベッド上安静よりも痛みを和らげ、機能を回復させるのに有効と報告されています。
〇薬物療法
急性腰痛に対して:
NSAIDs(非ステロイド抗炎症薬):ロキソプロフェン、ジクロフェナク、ケトプロフェンなど
筋弛緩薬:エペリゾン、チザニジンなど
アセトアミノフェン
弱オピオイド:トラマドール、ブプレノルフィンなど
ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液:ノイロトロピン
慢性腰痛に対して:
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬:デュロキセチン
弱オピオイド:トラマドール、ブプレノルフィンなど
ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液:ノイロトロピン
NSAIDs(非ステロイド抗炎症薬):ロキソプロフェン、ジクロフェナク、ケトプロフェンなど
アセトアミノフェン
坐骨神経痛に対して:
NSAIDs(非ステロイド抗炎症薬):ロキソプロフェン、ジクロフェナク、ケトプロフェンなど
Caチャネルα2δリガンド:ミロガバリンベシル
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬:デュロキセチン
〇物理療法
牽引療法、超音波療法、経皮的電気刺激療法、温熱療法、腰椎コルセットなど。
〇運動療法
〇神経ブロック
硬膜外ブロック、神経根ブロック、椎間板内注射、椎間関節注射など
〇代替療法
鍼灸、トリガーポイント注射など