高血圧

 

高血圧とは

高血圧とは文字通り血圧が高いことをいいます。体の中には動脈と静脈がありますが、動脈を流れている血液の圧力が高いことを指します。上の血圧、下の血圧といいますが、正式には収縮期血圧、拡張期血圧といいます。

血圧が高いと何が問題かというと、高血圧が続くことで動脈硬化が進みやすくなり、動脈硬化が進むと脳卒中や心筋梗塞などを合併するリスクが高くなります。脳卒中や心筋梗塞などにならないように、血圧を管理していくことが重要ということです。

高血圧の診断・基準

高血圧の基準は収縮期血圧が140mmHg以上、拡張期血圧が90mmHg以上になりますが、糖尿病や脂質異常症など他の生活習慣病などがあるときは、120/80mmHg未満を目指して血圧コントロールをすすめる場合もあります。

高血圧の原因

高血圧は生活習慣病の中でも最も頻度が高い病気です。高血圧は90‐95%は原因が明らかでない本態性高血圧、残りの5-10%は何らかの原因がある二次性高血圧になります。二次性高血圧には、腎臓が悪くて起こる腎性高血圧、ホルモンバランスの異常により起こる内分泌性高血圧などがあります。

本態性高血圧は、通常30歳から40歳代で発症し、遺伝的な傾向を示します。つまり、ご両親が高血圧の場合はご自身も高血圧になりやすい傾向があります。さらに、食塩摂取過剰、運動不足、肥満、ストレスなどの後天的な要因によって、高血圧の発症が促進されます。

また年齢に伴って血圧が高くなるのは、加齢に伴って動脈が硬くなってくることが考えられます。

高血圧の症状

高血圧に伴う症状として肩こり、頭痛、ふらつきなどを認める場合がありますが、必ずしも症状を伴わない場合もあります。無症状だからといって高血圧を放置してしまうと徐々に動脈硬化が進行し、最終的には脳卒中や心筋梗塞などの合併症を併発してしまうリスクが高くなります。

高血圧に伴う合併症

高血圧の状態が続いていしまうとさまざまな合併症が出現してきます。高血圧に負けないようにと心臓ががんばることで心肥大を来し、心不全となってしまいます。また体中の動脈硬化が進行してしまいます。心臓の血管(冠動脈)が細くなり詰まってしまうと狭心症や心筋梗塞、脳の血管が詰まってしまうと脳梗塞を引き起こしてしまいます。これらの合併症を引き起こさないためにも血圧をコントロールすることが重要となります。

高血圧 どれぐらいにコントロールすればよい?

高血圧の程度とその他の脳心血管リスクになりうる因子(糖尿病、脂質異常症、脳心血管病の既往、喫煙、年齢、性別など)の有無によってリスク分類されます。高リスクと判定された場合はしっかりと血圧を下げる必要があります。

治療の目標は一般的には病院やクリニックで測定したときで130/80mmHg未満、家庭血圧で125/75mmHg未満が一つの目標になります。

 

高血圧の治療 

 生活習慣の見直し

自身でできることは生活習慣を整えることです。具体的には塩分を控える、野菜・果物の積極的な摂取、適正体重の維持、適度な運動、節酒、禁煙などです。

①塩分は1日6g未満
②野菜・果物を積極的に摂取する
③適正体重を維持する。BMI25未満(BMIは体重(kg)÷(身長(m)の2乗)
④運動療法:軽度の有酸素運動を毎日30分または180分/週以上を行う。
⑤節酒:エタノールとして男性20-30ml以下/日、女性10‐20ml以下/日に抑える。
⑥禁煙

 

 薬物療法(降圧薬)

生活習慣を見直しても血圧が高い場合は、降圧薬を用いて血圧をコントロールします。降圧剤薬といってもいろいろな種類がありますのでそれぞれの体調や病態に合わせて調整します。以下に代表的な降圧薬を示します。

①カルシウム拮抗薬:アムロジピン
②アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬:エナラプリル
③アンギオテンシンII受容体拮抗薬(ARB):カンデサルタン
④利尿薬
 ・サイアザイド系利尿薬:ヒドロクロロチアジド
 ・ループ利尿薬:フロセミド
 ・カリウム保持性利尿薬:スピロノラクトン
⑤β遮断薬:アテノロール

 

血圧は心拍出量(心臓から押し出される血液の量)と末梢血管抵抗の積からなります。

水道とホースを思い浮かべてください。蛇口をたくさんひねって水をたくさん出すとホースから勢いよく水が出てきます。心臓からたくさん血液が押し出されると血圧も高くなります。β遮断薬は心臓ががんばりすぎないように抑えるように働きます。利尿薬は流れている血液量そのものを減らすように働きます。そうすることで血圧が下がります。

一方、ホースの先端をぎゅっとつまむとホースは細くなり、水は勢いよく遠くまで飛ぶようになります。動脈硬化が進むと血管は固く、細くなり、血圧が高くなります。カルシウム拮抗薬、ACE阻害薬、ARBは血管を拡張させるように働き、血圧を下げます。