糖尿病とは
糖尿病は慢性的に血糖値が高くなってしまう病気です。血糖値をさげるホルモン(インスリン)がないと血糖値は上がってしまいます(1型糖尿病)。インスリンが分泌されていても分泌量が不十分であったり、インスリンの効きが悪くなって血糖値が上がることもあります(2型糖尿病)。
糖尿病が疑われるときは、血液検査や尿検査を行います。血糖や尿糖のほかに合併症が隠れていないかも含めて確認します。
糖尿病の検査、診断基準
糖尿病の診断基準は①~④のいずれかが確認された場合は「糖尿病型」と判定します。ただし、①~③のいずれかと④が確認された場合は、糖尿病と診断してよいとされています。
①早朝空腹時血糖 126 mg/dl以上
②75gブドウ糖負荷試験で2時間値 200 mg/dl以上
③随時血糖値 200 mg/dl以上
④HbA1cが 6.5 %以上
血糖値が糖尿病型(①~③のいずれか)を示し、かつ次のいずれかの条件をが満たされた場合は、初回検査だけでも糖尿病と診断できます。
・糖尿病の典型的な症状(口渇、多飲、多尿、体重減少)の存在
・確実な糖尿病網膜症の存在
糖尿病の合併症
糖尿病の問題点は合併症です。長期にわたり血糖値が高い状態が続くとさまざまな合併症のリスクが高くなります。代表的なものとしては脳血管障害(脳卒中)、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、糖尿病神経症などです。
心疾患や脳血管疾患は日本人の死因の上位(それぞれ2018年で2位と4位)に位置します。また、糖尿病腎症がひどくなると透析が必要になったり、糖尿病網膜症で失明してしまうこともあります。
これらの合併症を起こさないようにするのが治療の目標のひとつとなります。
血糖コントロール目標
それではどれくらいに血糖値をコントロールをするとよいのでしょうか。
治療目標は年齢、罹病機関、臓器障害、低血糖の危険性、サポート体制などを考慮して個別に設定するとされています。
65歳未満の方については合併症予防の観点からはHbA1c 7.0%未満を目標とします。血糖値としては空腹時血糖 130 mg/dl 未満、食後2時間値血糖 180 mg/dl 未満がおおよその目安となります。
治療強化が困難な場合や低血糖のリスクが高い場合、高齢者では治療目標をHbA1cで8.0%未満とすることもあります。
治療について
上記の治療目標を達成するためには、どうすればよいでしょうか。
①食事療法
②運動療法
③薬物療法
①食事療法は糖尿病治療の基本となります。1日の総エネルギー摂取量を設定し、炭水化物・たんぱく質・脂質のバランスをとり、適量のミネラルやビタミンを摂取できるようにします。
そんなに食べていない、摂取していない、と思っていても間食も含めると意外とカロリーをとっていることがあります。まずは今の摂取量の見直しをしましょう。
②運動療法は血糖コントロールを改善させます。有酸素運動は週に合計150分以上、週3回以上、運動しない日が2日以上続かないようにしましょう。
(コロナの影響もあり自宅で過ごす時間が長くなり、運動不足気味というお話もよく聞きます。感染対策をとりながら、また暑いときは熱中症対策をとりながら、無理のない範囲で適度な運動を意識してみてください。)
③食事療法と運動療法でも血コントロールが難しい場合は薬物療法が必要となります。1型糖尿病ではインスリンの注射が必須となります。2型の場合は内服治療から始めることが多いと思います。内服薬でも血糖コントロールが難しい場合はインスリンの注射も行います。
糖尿病に対する内服薬は多くの種類がありますので、主治医の先生と相談しながら治療をすすめましょう。また継続することが重要です。よくなった思って治療をやめてしまうとまた血糖値が高くなってしまい、合併症のリスクが高くなります。合併症予防のためにもきちんと継続しましょう。