貧血

貧血とは血液中の赤血球や赤血球に含まれるヘモグロビンが少ない状況のことです。健康診断の採血結果をみると、RBCとかHbとか書かれていませんか。RBCはred blood cellの略で赤血球そのものの数のこと、Hbはヘモグロビンの略で赤血球に含まれる色素のことです。ヘモグロビンに酸素が結び付いて、全身に酸素を運ぶのが赤血球の役割になります。

赤血球・ヘモグロビンが少ないといわゆる貧血の症状が出てきます。具体的にはめまい、頭痛、疲れやすさ、倦怠感、動悸、息切れなどです。貧血がゆっくりと慢性的に進んだ場合は体も慣れてきてあまり症状が目立たないこともあります。

急に立ち上がったりすると脳に行く血流が減って立ちくらみを起こすことがあります。このことを貧血とおっしゃる方もいらっしゃいますが、本来の貧血とは異なります。

貧血の逆は多血です。赤血球やヘモグロビンが増加してしまった状態です。

採血の結果に戻りますが、赤血球のあたりにHctもしくはHtと書かれていませんか。これはヘマトクリットといいます。採血をして血液を放っておくと重たい(密度の高い)赤血球は下の方は沈んできます。白血球と血小板は沈んだ赤血球の上に層を作り、軽い液体成分(血漿)は上の方に来ます。血液全体にしめる赤血球の割合のことをヘマトクリットといいます。単位はパーセントになります。赤血球の数(ボリューム=体積)が減ればヘマトクリットも減ってきます。

貧血が進むと赤血球の数(RBC)、赤血球に含まれる色素(Hb)、赤血球のボリューム(Hct)が減ってきます。

採血結果をみるとさらにわかることがあります。


貧血が進んできた場合に、赤血球1つ当たりの体積はどうかな?と考えます。赤血球1個を取り出してみたりはしません。採血結果でMCVはのっているでしょうか。MCVは平均赤血球容積になります。赤血球の大きさの平均を表します。MCVがのっていなかったとしてもMCVはHctをRBCで割れば出てきます。

例えば RBCが350万/μl、Hb10g/dl, Hctが27%だとすると、
MCV=27÷350×1000=77となります。
MCVの基準値は80~100です。MCVが80以下は赤血球が小さくなっていること(小球性といいます)、MCVが100以上は赤血球が大きくなっていること(大球性といいます)を意味します。
MCVが77だと赤血球1つ当たりの体積が小さくなっている小球性貧血だとわかります。

代表的な小球性貧血としては鉄分が足りないためにおこる鉄欠乏性貧血があります。
(つづく)

・鉄欠乏性貧血
・大球性貧血
・正球性貧血